台湾では、テレビ・ケーブル放送のニュース専門番組が多くありますが、
ニュース記事の中で、【羅生門】という言葉を時々目にします。
日本人にとっては、【羅生門】と聞くと、
著名な小説家、芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)の『羅生門(らしょうもん)』が思い浮かびます。
小説『羅生門』の内容は、
★多くの人が飢餓(きが)に苦しんでいた平安時代、仕事を失った若い男性がいて、もう盗賊になるしかないと悩んでいた時、彼は羅生門で若い女性の死体の髪を抜く老婆と出会いました。若い男性は老婆に対して正義感の怒(いか)りを感じますが、老婆は「女性の髪でカツラ【假髮】を作って売る。生活のためには仕方がない。」と若い男性に言いました。それを聞いた、若い男性は老婆の服を剝(は)ぎ取って、「わたしも生活のためにこうするしかないのだ。」と言い、闇の中へ消えていく。
(写真はWikiから)
結局、若い男性は盗賊になるかどうか悩んでいましたが、死体の髪を取っている老婆を見て、正義感から老婆の行為を憎みましたが、老婆の行動、会話によって、最後は自分が盗賊になる決意をした、ということなんでしょうね。
それで、台湾のニュースでの使い方ですが、《今回の事件は羅生門になった》、このような表現をよく聞きます。
ですが、台湾でのこの『羅生門』の意味は、実は芥川龍之介の別の作品、『藪(やぶ)の中』の意味なんだそうです。
『藪の中』は、慣用句にもありますが、《本当の事/真相がはっきりわからない;または証言や発言が矛盾(むじゅん)している》という意味ですね。
『羅生門』と『藪の中』の混同は、1950年の黒澤明(くろさわあきら)監督の映画『羅生門』が影響していると思います。
(写真はWikiから)
Wikiによると、この作品はヴェネツィア映画祭やアカデミー賞で受賞した有名な作品で、
その映画手法(しゅほう)から、『羅生門効果【Rashomon effect】』という学術用語も誕生したそうです。
これは、心理学・犯罪学などで、《ひとつの出来事において、人々がそれぞれに見解を主張すると矛盾してしまう現象》を指します。
調べてみると、意外に深い言葉の意味でしたね。
逆に日本人はこの『羅生門効果』のことを知っている人は少ないんじゃないでしょうか?
普段何気なく使用している言葉をもう一度調べてみるのもおもしろいですよね。
